林輝美 医師

林輝美 医師からのメッセージ

林輝美ドクター写真

あきらめないで、私たちと一緒に頑張りましょう

妊娠の継続が困難である不育症という病名があります。
定義としては、繰り返す3回以上の流産もしくは、12週以上の胎児死亡を経験された方があてはまるのですが、待ち望んだ妊娠がスタートしたのに流産という結果を迎えることは、それが一度のことでも辛く悲しいことです。

しかし流産の原因の多くは、胎児側の染色体異常によると考えられています。この流産を乗り越えて、次回の妊娠が順調な経過をたどり、無事出産を迎えられることは多く、日常的でもあるのです。

しかし3回くり返す流産や、安定期に入ってからの流産となると、次の妊娠への不安も大きいことです。
流産につながる何か根本的な原因があるのではないか、それを探る検査を不育症外来では行っています。
血液検査(代謝異常や感染症 自己免疫系の異常)子宮の形態や、内膜の状態をチェックし必要があれば投薬や手術を行います。

私たちは、くり返す流産を乗り越えて出産された方々から、いつも感動をもらっています。
今、立ち止まって苦悩している方も、どうか勇気を出してご相談ください。

林輝美 医師 インタビュー

写真で⾒る林輝美先⽣は、楚々としたイメージ。
インタビューを通して意外な⼀⾯や医療、患者様への思いをお伝えします。

学⽣時代のエピソード
さっそくですが、林先生って若い頃からあまり変わってないんじゃないですか?
そんな印象を受けるのですが、いかがですか。
そんなことないですよ。それなりに年月重ねてますから。 ただ、結構、活発で学生時代は400CCのバイクに乗っていました。車の免許取るよりも、「バイクかな?」と思って。親に「危ない!」と反対されると思って内緒で免許を取りましたが、私を含めて3人姉弟が次々にバイクの免許を取るので、きっと親は驚きながらも何も言えなかったかもしれませんね。 週末や休暇になると、姉弟や仲間とツーリングに出かけました。 一度、姉と2人で兵庫の自宅から富士山までツーリングしたこともあります。登山はしませんでしたが、五号目までバイクで行って、山の空気を満喫しました。 バイクに乗るのは、気持ちよかったです。「風になれる!」と思っていました。 艶々のロングヘアをなびかせてバイクに乗るのに憧れて、髪を長くしていたこともあります。でも、車の排気ガスやホコリを直接浴びるので、とんでもなくバサバサで枝毛だらけの髪になり…、仕方なく短く切りました。現実はなかなか憧れのようにはいきませんね。
先生がバイクに乗っていたなんて意外でした。いつ頃までバイクに乗っていたのですか?

23歳ころに免許を取って、医師として働くようになってバイクを降りました。 やっぱりケガをするわけにはいきませんからね。 一度、降りたら、もう乗れなくなりました。怖くて。 写真を見ると、懐かしいなと思い出します。週末にツーリングしていると、ほかのバイカーから声をかけられて、集まりに誘ってもらったり、ツーリングに良いコースを紹介してもらったりと輪も広がっていくのも楽しかったです。コーナーを走るときに、バイクを倒して「ギューン」と走る時は「私、風になった!」と最高の気分でしたね。今は、もう無理ですけど…。

医師を志したきっかけ
医師になったきっかけは、なんだったのですか。
私の家族には医師はいませんでしたが、祖父や叔父たちが医師でした。 小さい頃、祖父の家に行くと病院独特の匂いがして「私、この匂い好きだな」と思っていました。医者になりたいと思ったというよりは、刷り込まれていったような感じがします。 小学生の時には、担任の先生に「将来何になるの?」と聞かれて「女医です!」と答えたことを覚えています。先生には「女優?」と聞き返されて「あ、女優もいいかなー」とも思いつつ、医者ではなく「女医」と答えたのは、小学生ながら私らしいなと思います。 産婦人科医を目指したのは、渡辺淳一の小説『花埋み』の影響もあります。この作品は、日本初の産婦人科女医である荻野吟子さんの物語です。夫から性病をうつされ、男性医師に診察されることの辛さや苦しみを感じ、この同じ苦しみから女性を救うには産婦人科医になるしかないと、さまざまな偏見と障害を乗りこえて医師、女医として活躍していく話です。とてもいい作品です。
趣味とリフレッシュ
確かに、内診台にあがるのか…と思うと、産婦人科受診は億劫になるので、女性医師なら 少し緊張も和らぎますよね。
林先生も日々の診療は緊張の連続では?と思うのですが、休日の楽しみはなんですか?

最近は、裁縫が楽しいです。 ポーチやボトルカバー、お財布もつくります。100均にいろいろな布やファスナーや飾りもあるので、休みには買いに行ったり、それらを組み合わせてつくったりしています。 この頃は、スタッフにもつくってあげるのも楽しみの1つになっています。あの人は、青が好きだったなとか、お気に入りのキャラクターがいたなとか、なるべく好みに合うようにつくっています。

ステキな趣味ですね。使いやすそうだし、布だから温かみもありますね。
そうですか、ありがとうございます。 休日に、朝から晩まで布を裁って組み合わせて、ミシンをかけてと夢中になっているのがいいのかもしれません。達成感もあるし、スタッフに贈って「ありがとう」と言ってもらえることがリフレッシュになり、仕事へのモチベーションにつながっているのだと思います。
それが日々のいい診療につながっているのではないでしょうか。
そうですね。生殖医療は、1組として、1人として同じではありません。 普通の病気なら、この症状ならこの薬、こういう経過をたどって病気が治るだろうという見込みが立ちますが、生殖医療はそのセオリーがありません。 カップルごと年齢も違えば、生活環境も違い、心の持ち様にも違いがあります。カップルごとにあった医療を提供していますが、「妊娠のお手伝い」をさせていただいているという感覚もあります。 患者様は、この周期で妊娠して赤ちゃんを授かろうと一生懸命になりますから、診療の時はなるべくリラックスして、肩の力を抜いていただけるような声かけや対応を心がけています。
治療がうまく行く患者様ばかりではないですよね。そんな時は、どのようにしていますか?

なかなか難しいのですが、患者様の気持ちに寄り添えるように心がけています。 年齢が高かったり、何回か妊娠できなかったりする周期が続くと「もうこれで終わりにします」と話す方もいらっしゃいます。 その時には「今、決めなくても、ゆっくり考えてみてください」などとお話すると、その後にご主人と話し合われて「もう一回頑張ろうと思います」とお話になる場合もあります。 その時、その時で患者様の気持ちも揺れ動くことがありますので、その都度、お話ができれば患者様の安心につながるのではないかと思います。これは、オンライン診療の良さと実感しています。

患者様へのメッセージを聞かせていただけますか?
不妊治療、体外受精が保険適用になり、治療へ臨む若いカップルが増えてきました。その一方で晩婚化や晩産化が進み、年齢の高いカップルが治療に臨むことも少なくありません。 なかには、厳しいお話をしなくてはならない場合もありますが、そのカップルに最適な方法を探し、妊娠へのお手伝いをさせていただきます。 もちろんお子さんを授かることが一番の目標ですが、治療を終える時には「やり切った」という思いを持っていただけるように努めます。 そのためには、疑問や不安を持ち越さずに治療を受けることも大切ですから、どうぞいろいろな話をお聞かせください。 また、最近は卵子凍結を希望する女性も増えてきました。これは「未来への備え」となる選択肢の1つ、「自分らしく生きていく」ための方法の1つとして考えてみるのも良いと思います。
最後に、今後のお楽しみは何かありますか?
私は、動物が好きで、中でも特にチーターが大好きです。 早いスピードで走る姿や、子どもを守る母親チーターの姿にとても感動しました。そして、独り立ちさせる時の母親チーターの厳しさと去っていく背中に胸を打たれます。 サファリパークなどへチーターに会いに行ったことがありますが、野生ではないので走る姿を見ることはあまりありません。いつかタンザニアやケニアに行って、野生のチーターに会ってみたいです。