奥平 裕一 培養士

奥平 裕一 培養士 インタビュー

Q&A

趣味
寺社、城、居酒屋めぐり
好きな食べ物
馬刺し
嫌いな食べ物
納豆
好きな色
好きな歌
少年時代
影響を受けた有名人
武田信玄
好きな漫画
蒼天航路
好きなスポーツ
山登り
好きな映画
インディジョーンズ
犬派、猫派?
犬派
アウトドア派、インドア派?
どちらとも
子供の頃憧れた職業
考古学者
子供の頃得意だった教科
生物、歴史
言われて嬉しい言葉
ありがとう
おすすめの手土産
桔梗信玄餅
出身地と好きな郷土料理
山梨、馬刺し

インタビュー

「命の源に関わる責任ある仕事だからこそ、細心の注意を払う。その緊張は、趣味のお城巡めぐりで思い切りリフレッシュします」
そう語るのは、生殖医療の現場で活躍する胚培養士の奥平さん。体外受精に携わりながら、患者さまに寄り添うカウンセリングも行い、仕事は多岐にわたります。趣味の話から仕事への情熱、そして患者さまへのメッセージまで、じっくりとお話を伺いました。

趣味とリフレッシュ法について
趣味のお話に興味津々なんですが、お城めぐりがお好きなんですね。
はい、お城では日本の歴史や文化を直接感じることができます。城ごとに異なる設計や背景があり、それを知ることで日本の歴史がより身近に感じられます。
どのお城がお気に入りですか?
どのお城が一番とは決められないですが、西日本なら姫路城、東日本なら松本城かな。姫路城は真っ白で「白鷺城」と呼ばれるほど優美ですし、松本城は黒くて威厳があります。白と黒と真逆の色ですが、それぞれ魅力的ですね。
歴史的価値も高いお城ですよね。地元の山梨にもお城がありますか?
はい、躑躅ヶ崎館が有名です。現在は武田神社として残っていますが、天守閣はなくても歴史の重みを感じますね。
趣味のお城めぐりは、健康管理にも役立っているとか。
そうなんです。お城は天守閣だけでなく、石垣や櫓など見どころが多くて、歩き回ると自然と運動になります。特に山城は登るのが大変ですが、達成感があります。
胚培養士を目指したきっかけ
話は変わりますが、胚培養士を目指したきっかけを教えてください。
大学や大学院時代にマウスや家畜の卵を使った体外受精の研究に携わったことがきっかけです。 胚が受精し発生する過程を観察して、その美しさと神秘さに心を奪われました。この知識や技術を赤ちゃんを授かりたいと願うカップルに活かしたいと思い、胚培養士の道を選びました。
学生時代から生命の神秘を間近で見てきたんですね。
そうですね。それに、同期や先輩たちに胚培養士になる人が多かったことも影響しています。今は、これまでの知識や経験が患者さまの治療の手助けにつながることに、とてもやりがいを感じています。
仕事への情熱と責任感
胚培養士として最もやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
患者さまから「妊娠しました。ありがとう」と感謝の言葉をいただくときですね。その一言が私の仕事への原動力となり、日々の励みになっています。
一方で、責任も大きい仕事ですね。
そうですね。特に間違いを絶対に起こしてはいけないというプレッシャーがあります。患者さま一人ひとりにとって大切な命の源を預かっているので、細心の注意を払っています。
カウンセリングでの工夫
胚培養士として患者さまとのカウンセリングにも携わっているとのことですが、不安を感じやすいポイントにはどんなものがありますか?
専門用語を使いすぎず、できるだけわかりやすく説明することです。また、データや論文を活用して、科学的根拠に基づいた情報をお伝えするようにしています。
特にどんな相談が多いですか?
胚のグレードに関する相談が多いですね。「このグレードの胚で妊娠できるのか」と不安に思う方もいらっしゃいます。グレードが低い胚よりも高い胚のほうが妊娠率は高いですが、妊娠の可能性はグレードだけではわかりません。 そうした胚のグレードと妊娠の関係なども丁寧に説明します。最終的に、どの胚を移植するかは患者さまが決められることですが、納得して治療のステップを踏めるようにお手伝いするのが、私の役割だと思っています。
納得して治療を受けることは大事なことですよね。そのための情報提供は、常日頃から準備されているんですか?
さまざまな論文を読んだりデータを整理したり、患者さまのカルテを確認するなどして準備しています。私たちオーク会では、通院されている患者さまだけでなく、これまで治療を受けことがない方や他院での治療経験のある方もカウンセリングを受けることができます。特に治療経験のある方には、「これまで詳しく説明を受けたことがなかったので、今初めて知りました。勉強になりました。」とおっしゃっていただけることもあります。 赤ちゃんを授かるための治療ですから、ぜひ、いろいろなことを質問して、その答えに納得して、治療に取り組んでほしいと考えています。
健康管理と今後の目標
胚の管理や患者さまへの説明と、お忙しい中で健康管理に気をつけていることはありますか?
座り仕事が多い分、意識して体を動かすようにしています。特に日常的に階段を使ようにしたり、休日は時間があれば散歩をするよう心がけています。お城めぐりも良い運動になりますね。
食べるものなどにも気をつけることはありますか?
そこは好きに任せています。お城めぐりも好きなのですが、実は居酒屋めぐりも好きなんです。 だから、特にお酒を飲む時は好きなものを飲んで食べています。 日本酒が一番好きなんですが、なんでも飲みます。おつまみは、やはり山梨出身でもありますので、馬刺しですね。あとは、なめろうも好きです。アジやイワシなどのなめろうは、日本酒によく合いますね。
飲み過ぎには注意ですが、そうした時間もリフレッシュには大事ですね。
いろいろセーブしたり、気を遣ったりしすぎると、それもストレスになりますからね。 ただ、体重がね、右肩上がりなんですよ。だから、歩く時間を増やしたり、階段を使ったりして日常生活の中で無理なくできることをしています。
今後の目標を教えてください。
生殖補助医療胚培養士の上位資格となる「生殖補助医療管理胚培養士」という資格取得を目指しています。この資格を取ることで、これまでよりもより多くの患者さまへ専門的なサポートができるようになります。
たとえば、どのようなことがあげられますか?
この資格を取得するには、生殖補助医療胚培養士認定資格と博士の学位が必要です。さらに、胚培養士としての一定の実務経験に加え、関連分野の論文を執筆・発表し、高度な知識と倫理観を問われる資格試験に合格する必要があります。また、この資格は5年ごとの更新制であるため、取得後も日々の仕事を通じた経験の積み重ねや、スキルアップを欠かすことができません。 資格を取得することで、患者さま一人ひとりにより自信を持ってサポートできるのはもちろん、科学的根拠に基づいた情報を正確かつわかりやすく伝えることが可能になります。これにより、治療の選択肢を広げるだけでなく、患者さまの安心感や納得感を高めることができると考えています。 資格取得に向けては、日頃の業務に加え、論文の提出や学会発表など多くの挑戦が求められます。これらの難しい関門を乗り越えることは簡単ではありませんが、知識と技術のさらなる向上を目指し、よりよい技術と情報を患者さまに提供できるよう努力を続けています。
患者さまへのメッセージ
最後に、患者さまへのメッセージをお願いします。
私たち胚培養士は、患者さまの大切な卵子や精子、胚をお預かりし、胚移植をするのまでの間、全力でサポートさせていただいています。 また、医師の指導のもと卵や胚の状態に関して直接患者様へお話しする機会もあります。体外受精にはいろいろな技術もあり、さまざまな専門用語が飛び交うことがあるため、分かりにくいことが多く不安や疑問もあると思いますが、どんな小さなことでも相談してください。わかりやすい説明で、少しでも不安や疑問を取り除き、最新の技術や知識を常に取り入れながら、皆さまに安心して治療を受けていただけるよう努めていきます。