体外受精や顕微授精は、通常は成熟卵に行いますが、稀に、未成熟卵しか得られない場合があります。
未成熟卵は体外受精や顕微授精を行っても、殆ど受精しないため、体外成熟培養(IVM)を行います。
※キャンセルの場合、45,000円(税込 49,500円)が必要です。
※総額表示義務に基づき、税込価格を記載しています。会計時に計算上の誤差が生じる場合がございます。
卵自体が小さく、周りについている顆粒膜細胞も小さく硬い状態です。
ピンク色に見えているのは、IVMの培養液です。
未成熟卵は、顕微授精を行っても受精しません。
通常の体細胞の2倍の染色体(4n=92)を持ちます。
成熟卵は、減数分裂により、染色体数が半減(2n=46)したものです。
IVM(24~48時間) 減数分裂再開
IVMで成熟した卵。顆粒膜細胞が軟らかく大きく広がっており、卵自体を見ると成熟のサインである極体が放出されています。
成熟卵には、体内で成熟した卵子と同様の受精能があります。
第二減数分裂中期に達した卵が成熟卵です。
核の分裂により、余剰な染色体が細胞外に放出されます。
放出された染色体は「第一極体」と呼ばれ、成熟のサインとなります。
受精
精子の進入により減数分裂は完成し、「第二極体」が放出され、受精卵となります。
レスキューIVM
顕微授精の段階で受精できない未成熟卵を体外で成熟させる方法です。
採卵した卵子は必ずしも成熟卵子とは限らず、未成熟卵である・または混在するケースもあります。
未成熟卵子は受精できませんので、これまでは不妊治療に使用されず廃棄されていました。
成熟卵子が十分採卵できた場合には、未成熟卵子を廃棄する選択枝があります。
しかし患者様によっては、十分な成熟卵子が採卵できずに未成熟卵子ばかり、それも続けて未成熟卵子ばかりということがあります。
このような患者様のために何とかしたいという思いから、未成熟卵子を体外で成熟させる当院独自の培養法を研究・開発し、2019年6月に国より初承認を取得したしました。
その結果、これまで受精能が無いため廃棄されていた未成熟卵子を成熟・受精させて胚移植、そして妊娠・出産まで望めるようになりましたが、レスキューIVMにより成熟した卵子の受精率や胚盤胞到達率の平均は、体内で成熟した卵子での平均に比べると劣ることも事実です。
こちらについてはレスキューIVM成績向上のために引き続き努めています。
体外受精に使用する卵子は、薬剤で刺激することで卵巣内の未成熟卵子を成熟させて採卵し、多くの負担をかけて採卵した大切な卵子を一つでも無駄にしないことを目的としています。