プレコンセプションケア

プレコンセプションケア

医師の田口です。

プレコンセプションケアの重要性が指摘されています。コンセプションはconception=

妊娠・受胎、プレはpre=その前に、という意味で、「将来の妊娠に向けて考えておくべきこと」ということだと思います。

子宮頸癌の原因になるHPV(ヒトパピローマウィルス)に対するワクチン接種開始の頃から頻繁に目にするようになったワードです。

将来、妊娠出産という大役を担わなければならない女性が、自らの体や心の状態を良く知り、良好な状態を保つことを助ける目的です。内容としては、栄養や生活管理、ワクチン接種や婦人科の定期健診から性感染症予防に心のケアなど、多岐にわたります。

海外では、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)世界保健機関( World Health Organization:WHO)などがPreconception Careを提唱しています。

月経の状態が異常なのに放置していた、性感染症に気づいていなかった、などのことで、卵管閉塞や子宮内膜症の悪化などに繋がる可能性があります。

当院に受診されている方は、すでに妊娠を目指して治療中の方が殆どなのですが、「妊活を始める前からもっと知識があれば良かった。」という声も聞きます。できれば小学校くらいから性教育の一環として、少しづつ理解していけるようにするといいですね。

ところで、プレコンセプションケアセンターを立ち上げている国立成育医療センターが「プレコンチェックシート」に、気を付けるべきことをまとめています。参考にしましょう。

私自身はもうプレコンセプションではなく、はるかにポスト(後の意味)コンセプションですが、それでも健康管理にこのチェックシートは役にたちそうです。男性用もあります。

《 プレコン・ チェックシート 》

【女性用】
☐ 適正体重をキープしよう。
☐ 禁煙する。受動喫煙を避ける。
☐ アルコールを控える。
☐ バランスの良い食事をこころがける。
☐ 食事とサプリメントから葉酸を積極的に摂取しよう。
☐ 150分/週運動しよう。こころもからだも活発に。
☐ ストレスをためこまない。
☐ 感染症から自分を守る(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)。
☐ ワクチン接種をしよう(風疹・インフルエンザなど)。
☐ パートナーも一緒に健康管理をしよう。
☐ 危険ドラッグを使用しない。
☐ 有害な薬品を避ける。
☐ 生活習慣病をチェックしよう(血圧・糖尿病・検尿など)。
☐ がんのチェックをしよう(乳がん・子宮頸がんなど)。
☐ 子宮頸がんワクチンを若いうちに打とう。
☐ かかりつけの婦人科医をつくろう。
☐ 持病と妊娠について知ろう(薬の内服についてなど)。
☐ 家族の病気を知っておこう。
☐ 歯のケアをしよう。
□ 計画:将来の妊娠・出産をライフプランとして考えてみよう。

【男性用】
☐ バランスの良い食事をこころがけ、適正体重をキープしよう。
☐ たばこや危険ドラッグ、過度の飲酒はやめよう。
☐ ストレスをためこまない。
☐ 生活習慣病やがんのチェックをしよう。
☐ パートナーも一緒に健康管理をしよう。
☐ 感染症から自分とパートナーを守る(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)。
☐ ワクチン接種をしよう(風疹・おたふくかぜ・インフルエンザなど)。
☐ 自分と家族の病気を知っておこう。
□ 計画:将来の妊娠・出産やライフプランについてパートナーと一緒に考えてみよう。

出典:国立成育医療センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/pcc_check-list.html