医師の田口です。
4月から不妊治療の保険適用が開始されます。
以前から保険適用になることは何度も囁かれていましたが、不妊治療の内容の複雑さと受精卵の培養など保険診療に馴染まない手技があることや、薬剤の適応外使用が頻繁なことから、なかなか実現は難しいだろうと言われていました。
今現在、4月1日まで残すところ数日(このブログが出るころには4月1日すぎているかも)の時点で、まだまだ不明な内容があるものの、とりあえずスタートすることになりました。
当初保険診療になることが決まった時点では、保険の算定ルールが複雑なこととプロトコールの見直しが必要などの理由で、「保険診療はしない。」と決めているクリニックが多くあるだろうという噂でした。しかしながら、ふたを開けてみると、ほとんどのARTクリニックが保険診療にむけて準備を始めているようです。ただ、中には、保険診療によるARTは行わない、という決断をしたクリニックもあったようです。
色々保険の効かない技術も、あるにはあります。それに関しては順次、ある程度のエビデンスのあるものは、先進医療という形で、保険診療にトッピングする形で行うことができるようになっていきます。
ただ、まだ研究開発途上なのでエビデンスレベルが低いとわかっていながら心配で外せない技術もかなり多いのが現状です。
医療者側も、患者側も、双方ともに心配なためと、より治療確率が上がる可能性に期待して、安全性に配慮しながら、先進医療技術を変わりなく利用していきます。
体外受精が妊娠率を高める理由は基本的に、
1.確実に受精させる
2.多くの卵子(受精卵)の中から、移植胚を選ぶ
ということに尽きるのであり、保険診療であっても、まずその部分は充分に満たされると思います。
まずは、患者さんの負担が減ること、そして、不妊治療の裾野が広がって、時期を逸することなく治療が開始できることが、なにより良かったと思います。