凍結胚の使用期限

凍結胚の使用期限

オーク会検査部です。

「27年間凍結されていた受精卵、無事赤ちゃんに 最長記録」←これは12月3日に配信されたBBCニュースの見出しです。27年モノの凍結胚を移植したその女性は一体何歳⁉と一瞬驚いたのですが、海外の事例で、ドナー胚(※)を用いた移植でした。

記事によると、1992年10月に凍結保存されたその胚は、非営利団体「国立受精卵提供センター(National Embryo Donation Center; NEDC)」で保管されており、今年2月にドナー胚として不妊治療中のご夫婦に移植され、10月に出生に至ったようです。

出生に至った凍結胚としては世界で最も古いものだとされているとのこと。なお、これまでの最長記録は24年で、このご夫妻の第1子の際の、同じドナーの凍結胚だったそうです。

27年前というと、ヒトの融解胚移植の初の成功例から10年経っていない時期で、凍結技術も現在ほど安定していなかったと思われます(当時はおそらく緩慢凍結法。現在主流となっているガラス化保存法(Vitrification法)による初の出生例は1998年)。その当時からの凍結保管最長記録での出生例というのは、凍結胚の長期的な安定性を考えるうえでとても心強いデータです。

凍結胚の使用期限はない、理論上は永久に使用可能、と言われています。日本では、凍結胚は採卵した本人に、母体の生殖年齢を超えないうちに移植しないといけないので、実際には無期限というわけにはいかないのですが…。

ドナー胚の使用が可能な環境では、今後も凍結保管最長記録の出生例が更新されて、いずれは、凍結胚は永久に使用可能という推論が確証に変わっていくのでしょう。

※ 元の記事ではドナー胚ではなく「凍結胚との養子縁組」と表記されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です