こんにちは。医師の田口です。
当院で以前から行っていた保因者スクリーングに関して変更があったのでお知らせします。
保因者スクリーニングとは、子供に遺伝する病気 (遺伝性疾患) の原因遺伝子を持っているかどうかを、血液検査で調べる方法です。
現在では遺伝子解析の技術の進歩により病気を引き起こす原因遺伝子が次々と明らかになっております。
多くの場合は、原因遺伝子を持っているからその病気になるわけではなく、カップル両方がその原因遺伝子を持っていることによって子供に病気が発症する潜性遺伝 (劣性遺伝) という遺伝形式です。
我々は誰しも、かなりの確率で原因遺伝子をいくつか保有しています。
カップル間で重なりが無ければ良いのですが、保有する原因遺伝子が重なっていると、子供に病気が起こる可能性があります。
またそのような場合でも、受精卵の遺伝学的検査 (PGT-M) を行い、原因遺伝子の影響を受けない受精卵を子宮に戻すことが可能な場合もあります。
これまで331個の遺伝子を検査する保因者スクリーニングの費用は19万円程度でした。
今回は遥かに多い2000遺伝子が確認できるにもかかわらず、値段も17万円強に下がっています。
遺伝子関連の検査は以前に比べてどんどん正確に、早く、安く、なってきています。
その一方で、結果をどれだけ正確に解釈できるかが重要になっています。
技術の進歩は、どんな時代でも諸刃の剣ですが、怖がって封印するのではなく、どのように正しく利用できるのかを考えながら使っていく必要があると思います。
また、得られた結果の解釈を、どのようにして、お伝えし、自己決定を支援していくのかについても私たち(とくに臨床遺伝専門医)が果たすべき役割はますます大きくなっていくと思います。