第67回日本生殖医学会学術講演会で口頭発表しました

第67回日本生殖医学会学術講演会で口頭発表しました

胚培養士の奥平裕一です。

11月3、4日に神奈川県のパシフィコ横浜で開催された第67回日本生殖医学会学術講演会に当院から医師と胚培養士が参加しました。また、今回は当院から2つの演題が採択され、私と伊元医師がそれぞれ口頭発表を行いました。

私の演題は「レスキューIVMの臨床的意義とその成績について」で、レスキューIVMに関して、その有用性(価値)、培養条件の工夫、成熟および受精後の成績、そして今後の課題などをお話ししました。

レスキューIVMとは、採卵後に未成熟だった卵を体外成熟培養(IVM)し、成熟卵まで育てる技術です。一般的に生殖補助医療(ART)には成熟卵のみが使用され、未成熟卵は廃棄されてしまう運命にあります。そこで、レスキューIVMによって体外での成熟に成功すれば、ARTに提供する卵子の数を増やすことができます。まさに文字通り未成熟卵を“レスキュー”し、未成熟卵の有効活用につながります。よって、オーク会ではレスキューIVMの有用性に着目して早くから治療に取り入れ、希望される患者様に実施しています。

レスキューIVMについての発表は他学会を含め以前はいくつか見られたのですが、今大会では当院のみでした。よって、発表前は誰も興味がなかったらどうしようかと不安に思いながら発表に臨みました。しかしながら、幸いにも発表した会場(セッション)には多くの方が参加してくださり、発表後に会場から質問も頂けました。そして、セッション終了後には複数の方が個別に質問に訪れて興味を持ってくださり、大変嬉しかったです。やはり皆、未成熟卵をそのまま廃棄するのはもったいなく、出来ればARTに使用したいという思いは共通であり、レスキューIVMという技術(概念)を知って頂く良い機会となりました。ここ最近話題のタイムラプスや人工知能(AI)の活用などの研究に比べると、地味な(発表映えしない)テーマかもしれませんが、ART治療におけるレスキューIVMの必要性と将来性は十分にあると考えています。今後もオーク会ではレスキューIVMの研究および臨床応用に精力的に取り組み続け、患者様の治療に役立てていきたいです。