子宮内膜生検・組織診

子宮内膜生検・組織診

医局カンファレンスです。

引き続き、着床不全の話です。
今日は、「子宮内膜生検・組織診」を取りあげます。

「生検」とは、体の組織の一部をかたまり(…)として取る医療行為です。
一方、「組織診」は、このかたまりとして取られた組織から標本をつくり、顕微鏡で観察・診断する検査法です。

生検と組織診は、いろいろな分野で病気の診断や治療効果判定に組み合わせて用いられています。

不妊症領域では、子宮内膜生検・組織診は、日付診とよばれる診断法の際に用いられますが、診断的な価値が低いとされ、徐々に行われなくなってきました。

ところが、ここへきて子宮内膜生検が再び脚光を浴びつつあります。
体外受精・胚移植が反復して不成功であった患者さんの子宮内膜に一部ダメージを与えることによって、逆に着床率が改善した、という内容の論文が世界各国から相次いで出てきています。

子宮内膜刺激によって、胚着床に必要な蛋白質が局所的に増えてくることが一因と考えられています。

われわれの施設では、前回取り上げた子宮鏡手術の際に、あわせて子宮内膜生検をおこなっています。
先ほどお話した、着床率の改善の期待に加えて、もうひとつ着床に関わる可能性のある病気の診断が目的です。
これについては、またの機会に触れます。