麻酔

麻酔

医師の田口早桐です。

最近、虫歯になり、歯医者さんに通っています。子どもの頃は、歯医者さんに行くことを考えただけで、恐怖におののいていました。

歯を削る金属音、いやな味、ときどき感じる鋭い痛み、それに、あの、局所麻酔!しかし、今は自分自身が、患者さんに対して、局所麻酔をしているのだから、驚きます(部位は違いますが)。

ところが、今回の歯医者さん通いは、あまり苦痛ではありません。というのも、全然痛くないからなのです。局所麻酔をする場合でも、針をさす部分の表面を麻酔しておいてからですし、充分麻酔が効いたか何度も確認した上で処置をしてくださるので、驚くほど痛くないです。

実は、不妊の患者さんが体外受精にステップアップすることを躊躇うひとつの大きな理由として、「痛み」があります。当院では月に一度、不妊セミナーを開催していますが、セミナー後にお茶を飲みながら、スタッフに気楽に質問したり他の患者さんと情報交換したりする時間があります。そのときによく話題にでるのが、「痛み」のことなのです。

皆さん、結構怖いのです。

当院では、採卵の際、様々な麻酔方法の中で、できるだけ希望に沿う麻酔を選んでいます。意識はあったほうがいいのか、ないほうがいいのか、入室と同時に眠ってしまいたいのか、採卵の間だけか、などなど。一つの方法に絞れば、楽なのですが、人によって考え方感じ方も違うので、希望を聞くようにしています。麻酔が卵に影響を与える心配はありません。あとで患者さんに、「全然痛くありませんでした。」と言われると、とても嬉しいですね。

クリニックによっては、麻酔の針を刺してから採卵の針を刺すより、一回で済むからと無麻酔で採卵するところも、あるとか。針の太さが違いますから、やっぱり、少し手間でも、丁寧に麻酔をしてあげて欲しいなあ、と採卵経験者である私などは、思います。