学会報告-ESHRE2012 その3

学会報告-ESHRE2012 その3

理事長の中村嘉孝です。

今回の学会では、同性愛カップルのARTについて倫理的、法的問題についてのワークショップを受講しました。
質疑の時間も十分に用意されており、腑に落ちない点を色々と質問できて充実した内容でした。

新たに知ったのは、ROPA(Reception of Oocytes from Partner)という言葉です。
レズビアン・カップルの一方の卵子をドナー精子で受精させ、もう一方の子宮に戻すという方法で、両方が親になることができるというものです。
もちろん理論的には、ありうることは分かっていたのですが、実際に多数の実例があることに驚きました。
倫理的な問題については色々な立場があるでしょうが、気になるのは生まれてくる子どもがどんな思いで過ごすのだろうか、ということ。
幸いなことに、心理学者のフォローアップ研究で、子どもの精神的な発育になんら悪影響がないことが分かっているようです。

こうなると、日本産科婦人科学会が金科玉条のようにして、「生まれてくる子どもの幸福」を理由にドナーや代理母を否定している姿勢は、ますます、いかがなものかと思われました。

学会場もホテルも、厳しいセキュリティ。