医局カンファレンスです。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)と着床不全の関連性(昨年12月2日付ブログ)に続いて米国の同じ研究グループから、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ビスフェノールA(BPA)についてのレポートがありました。
PCBと同じく、血液や尿中のHCB,BPA濃度が高い患者では、低い患者に比べて、体外受精後の着床不成功率が高いとの結果でした。
ケミカル妊娠や流産との間に相関関係はありませんでした。
また、塩素化殺虫剤のDDTやDDEと体外受精成績との間には関連はなかったとのことです。(Environ Health Perspect. 2012;120(7):978-983., 2012;120(2):316-320.)
HCBは、日本国内では製品として流通した過去は無いようですが、ごみ焼却中に意図せず合成される場合があるそうです。BPAはプラスチックの合成に使用されています。
厚生労働省は「曝露をできる限り減らすことが適当」との報道資料を発表しています。
どちらの分子も水に溶けにくく、河川を中心に長期残留するそうです。いわゆる環境ホルモンとして取り扱われる理由がここにあるようです。
これらの研究だけで、HCBやBPAと着床不全との因果関係を説明することはできませんが、気持ちの良い話ではないことは確かです。
HCBなどは、その発がん性のために、米国では1966年に使用禁止になっていますが、「調査期間中(1994-2003年)に対象女性全員の血液から検出された」と書かれており、使用禁止から数十年経っても、身の回りに存在していることが分かります。
自分自身で身を守る方法が何かあるものでしょうか。