医局カンファレンスです。
反復着床不全患者に対する子宮内膜生検の有効性を支持するレポートがまたこの1-2週間に相次いで発表されました。
(1)「これまでの5つのランダム化比較研究を集計解析することによりその有効性がより確実になった」
(Nastri CO et al., Cochrane Database Systematic Review. 2012 Jul 11;7:CD009517)
(El-Toukhy H et al., Reproductive Biomedicine Online, Article in press)
前周期に行った場合、何もせずに移植に進んだ場合に比べて、臨床妊娠率、出産率がそれぞれ2.6倍、2.4倍高いことが確認されました。これは当院での成績とほぼ同様の結果です。
新鮮胚移植直前に試みた研究では妊娠成績が悪くなっていることから、胚移植の2-3日前の内膜生検は、止めておいた方がよさそうです。
(2)「子宮鏡+子宮内膜生検は、子宮鏡単独よりも有効であった」
(Shohayeb A et al., Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. Article in press)
反復着床不全に対して子宮鏡を前もって行うと、次の胚移植周期の妊娠成績が良くなるという報告が以前からあります(無効という報告もあります)。
前周期に子宮鏡と子宮内膜生検を行った場合、子宮鏡だけを行った場合に比べて、出産率が2倍高いという発表がありました。
この研究については、「子宮鏡と併せておこなう」「生検は1回のみ」「キュレットという器具で内膜を損傷している」など、当院のプログラムと共通点が多いことに気づきます。
子宮鏡+子宮内膜生検の組み合わせが、現時点でベストといえるのではないでしょうか。
今後は、「着床に対する効果を最大限に引き出すためには、いつ、どのような方法で内膜を損傷すべきか」という点に、議論が向かっていくと思われます。