医師の田口早桐です。
芸術の秋ですね。先日少し時間があったので、以前より気になっていた中ノ島の国立美術館の「エルグレコ展」に行ってきました。
というと、美術をたしなむ高尚な人のように思われるかも知れませんが、私が以前住んでいた倉敷という町にある大原美術館に、エルグレコの作品が一点あり、その頃何かにつけて「お住まいは?」「倉敷です」「大原美術館のあるとこですね。」「はい。」「あそこにエルグレコの作品がありますね。」という会話を繰り返していたこともあり、なんとなく馴染みがあった…と、それだけなのですが。
エルグレコは、イタリアやスペインで主に教会に飾る宗教画を描いていたギリシャ生まれの画家です。展覧会は、想像していた以上に作品数も多くてびっくりしました。
作品の中で、私が感銘を受けたのは、マリアが神に妊娠したことを告げられる「受胎告知」TheAnnunciationや「無原罪のお宿り」Immaculate conceptionです。
同じ題名の絵が数点ずつ、ありました。壮麗で深みがあり、絵画の知識が全く無い私ですら、圧倒される作品でしたが、特に職業柄か、「受胎」をテーマにした作品を前にすると、様々な思いが込み上げてきます。
私にとって、「受胎告知」は、体外受精後の妊娠判定。「無原罪のお宿り」は、まさに、性交なしの懐胎ということで、体外受精そのものを意味し、その当日の朝に行った受胎告知の場面やあれやこれや去来して、胸が一杯になりました。
最後に「どうか、神様、私たちにも、「受胎」を授けてください。お願いします。」と祈りながら、美術館を後にしました。
もしかしたら何かご利益があるかも知れません。一度覗いてみてはいかがでしょうか?
注)「無原罪のお宿り」は、聖母マリア自身が母の胎内に宿った時から原罪を免れていた、という考え方で、上記の私の解釈は、間違っています。念のため。
「受胎告知」は、新約聖書に書かれているエピソードの一つ。処女マリアに天使ガブリエルが降り、マリアが聖霊によってイエスを身ごもることを告げ、マリアがそれを受け入れることを告げる出来事。