当院では、男性側の無精子症のカップルにも不妊治療を行っています。
無精子症とは、射精液中に精子の存在を認めない場合を言います。
無精子症は、大きく閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症に分類されます。
それぞれ病態は違うのですが、精子を回収する方法として当院では精巣内精子回収術(TESE)を行っています。
閉塞性無精子症とは、精巣で精子は製造されているのですが、精子を運ぶ管(精管)の閉塞や欠損により、精液中に精子が存在しない状態です。
この場合、TESEにより、容易に精子を認めることができ、顕微授精(ICSI)で受精卵を作ることができます。
一方、非閉塞性無精子症では、精巣で精子は作られていないか、もしくは作られていても、非常に数が少ないために、精液中に精子をみとめない状態です。
この場合も精子回収のため、TESEを行い、精子の有無を確認します。
残念ながら精子の回収ができない場合もあります。原因は、染色体の異常であることが多いのですが、その中にクラインフェルター症候群やY染色体微小欠損、相互転座などがあります。最近それらを調べる検査が、普及してきました。
当院では、まず、精巣の確認をするために、TESEと病理組織の確認を同時に行っていますが、精子が回収できなかった方については、染色体検査もありおすすめしています。
残念なことに、染色体の異常については現在のところ、治療する方法はありませんが、これからの不妊治療をすすめる上では有用な検査です。
非閉塞性無精子症でも下垂体ホルモン分泌障害による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症については、ホルモン補充により精液の改善が期待できます。
医療費の助成があり、一部の医療機関で治療が可能です。