反復着床不全・着床障害へのIFCE について~FAQ~

反復着床不全・着床障害へのIFCE について~FAQ~

医局カンファレンスです。

反復着床不全・着床障害に対するIFCE/子宮内膜損傷についてよくいただくご質問とその回答を挙げました。

Q.「治療効果はどのぐらい続きますか?」
A.翌周期の胚移植後の妊娠成績が良くなることは、すでに明らかになりました。さらに翌々周期の胚移植にも効果が期待できそうです。追跡調査中です。

Q.「なぜ効くのですか?」
A.実はよく分かっていません。動物でも同じような報告がありますが、まだ不明です。

Q.「反復着床不全だけに限らず、体外受精前に全員が受けてもよいのでは?」
A.現時点では、その意義があるとはいえません。
昨年、体外受精を始める直前の不妊症女性に内膜生検を行なっても妊娠成績は上らなかったというレポートが出ました。(Safdarian L et al., Iran J Reprod Med, 2011;9:269-276).

Q. 「子宮鏡だけではだめなのですか?」
A. 子宮内膜生検と併せたほうが明らかに成績良好です。
反復着床不全患者に対して子宮鏡を単独で行うよりも、翌周期の胚移植後の出産率が約2倍(28% vs 14%)高いことが、最近専門誌に発表されました。
(Shohayeb A et al., Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2012;164:176-179.)
一方、子宮鏡のみを行った場合、有効・無効の意見が二分しています。

Q.「痛みが心配です。」
A.現在、鎮痛用の座薬を検査の前にご使用いただいています。他にも局所麻酔という方法もあります。
検査の後に、長時間の休憩が必要になった方はおられませんのでご安心ください。

この1年、IFCE後にご妊娠された着床不全患者さんから無事ご出産されたとの報告を多くいただきました。
その成果を公表することもできました。
一方で、成績向上・負担軽減のために、まだまだ工夫の余地があるとも感じています。
さらに磨きをかけ、来年も皆様に新たな情報が発信できるよう、努めていきたいと思います。