Y染色体と種の存亡

Y染色体と種の存亡

数年前NHKスペシャルで放映された“女と男”を最近見ました。
男女の考え方の違いなどを分析していて面白かったのですが、放送3回分うち最終話で精子のことが出てきました。

ホモサピエンスの精子つまり人間の精子の状態が悪くなっているとのことでした。その原因のひとつに、性別を決定するY染色体の劣化が関係しているとのことです。

もう少し詳しく話をすると、生物はその膨大な情報を遺伝子の中に持ち、次の世代に伝えていくのですが、その際に全てがきっちり伝わるわけではなく、複写する際にミスを起こしていきます。

これが、進化につながることもあるのですが、多くの場合は異常として存在します。
ところが遺伝子は通常対になっており、片側にミスが起こってももう一方が正常であれば精子や卵子を作る際に正常の遺伝子を受け継ぐことにより、問題なく遺伝情報は伝わっていきます。

性染色体も、X遺伝子は女性の場合対になっており、X染色体の劣化はないのですが、Y染色体は男性が1本しか持っておらず染色体のミスや劣化を精子製造の際に修復するすべがありません。
進化過程の最初ではX染色体とY染色体は同じ大きさであったものが、現在ではY染色体は他の遺伝子に比べ非常に小さくなっています。500万年後にはY染色体が消滅してしまうかもしれないとのことでした。
Y染色体は精子を作るための重要な遺伝子であり、進化の過程で何か大きなことが起こらないと男性はなくなってしまうかもしれません。

ここまでの話は種の存亡としての精子の状態の話であり、今不妊治療にかかわる問題ではないとは思うのですが。