薄い子宮内膜への対策…その2

薄い子宮内膜への対策…その2

医局カンファレンスです。

前回、クロミッドによる薄い子宮内膜への対策として体外受精-融解胚移植のご案内をしました。
クロミッド周期は採卵+体外受精・顕微授精+胚凍結までホルモン補充周期には胚移植と分けることで、内膜への影響を回避するやり方です。

しかしこのような方法をとっても依然として内膜の薄い方が一部におられます。
過去に受けた子宮の手術の影響が疑われる方から、先天的な内膜反応不全と思われる方まで原因はさまざまです。

このような方の場合に、効果が期待できるのが、ビタミンE製剤です
(Lédée-Bataille N, et al. Hum Reprod. 2002;17(5):1249-53)。
ビタミンEは、子宮内膜の中を走るような細い血管では、赤血球や内皮細胞を酸化ストレスから守り、月経による剥離から回復する時期(増殖期)の子宮内膜の血流を増加させる作用を持ちます。

子宮の手術の後に、ホルモン剤では月経が来なくなるほどに一時期内膜が薄くなったものの、エストロゲン剤にビタミンE剤を組み合わせて使うことで、月経・子宮内膜厚も回復した不妊患者様が以前おられました。最終的には妊娠・分娩に至っておられます。

当院では、薄い内膜のため融解胚移植のキャンセルを繰り返された経験をお持ちの方に、ビタミンE剤の処方を行っております。

外来診察時にご相談ください。