一昨年より、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)が認可され、公費負担もあり多くの女性(この場合は女子生徒になるかも)が接種されました。ただ、最近では当院でワクチンを受ける患者様が減ってきているように思います。内科や小児科でワクチンを受けられているのであればよいのですが、不妊診療にかかわっているものとしては、少しでも、子宮に影響を与える疾患については、予防法があれば必ず処置を受けてほしいと思っています。
さて、医療はさまざまな情報やエビデンスが積み重なり、少しずつ変わっていきますが、今回、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)のうちサーバリックスの説明書の内容が少し変わりました。
以前予防効果が8年であったものが、今回9.4年に延長されました。
今後の情報の積み重ねにより更なる効果期間の延長が期待されています。
不妊治療を考えると最低でも40歳くらいまでは予防効果があってほしいところです。
ということは10歳でワクチンを接種してその後30年間くらい必要となります。
将来的に効果が切れてくる場合(血液中の抗体価が下がってくる)は、予防効果を維持するためにサーバリックスの追加投与が必要になるかもしれません。
もうひとつのガーダシルの説明書では予防効果は少なくとも4年となっています。
これは、ガーダシルが子宮頸がん以外にも尖圭コンジローマなどに効果があるため、評価に時間がかかっているのかも知れません。もうすぐ、改定があるかもしれません。
HPVワクチンは子宮頸部浸潤がんの原因(HPV16、18型)を6割予防しますが、ワクチンで予防できないHPVもあります。そのため、ワクチンの効果があっても、実は子宮頸がんに罹患することがあります。
子宮頸がん検診は早期発見のためにも必ず受けるようにしてください。
参考文献:松本光司、筑波大学医学医療系産婦人科学、第51回日本婦人科腫瘍学会学術講演会記録