子宮内膜の血流…その1

子宮内膜の血流…その1

医局カンファレンスです。

「不妊専門クリニックで体外受精・胚移植を受けてきたが、一度も妊娠反応が出たことがない。”子宮内膜の血流が悪いかもしれない“、と説明されたが着床期の子宮内膜の血流を改善する方法はあるのですか?」このような患者さんが、よくお見えになります。

カラードップラー法という超音波モードにより組織の血管や血流の状態が臨床的に調べられています。

「胚の着床を助けるためには、子宮内膜に豊富な血流が必要だ」このように思われがちですが、実際にはどうなのでしょうか?

実は、結果はこれとは逆の結果を示しています。
子宮内膜の血流量や血管密度は、月経終了後から徐々に増えてゆき、排卵3日前(増殖期後期)に最大となることが明らかにされています。

また、排卵を境にして減ってゆき、排卵後5日目に底値となり、その後月経期に向けて、再び増加していくことも分かりました。(Raine-Fenning NJ et al. Human Reproduction 2004;19: 330-338)。

意外に思われるかもしれませんが、着床期に相当する排卵後6-8日目の子宮内膜の血流は、月経周期の中では最も少ない時期に属します。

また他のデータからも着床期の子宮内膜の血流を改善することに、意義があるとは云えないのです。