甲状腺機能異常

甲状腺機能異常

前回プロラクチン(PRL)のお話をしましたが、このホルモンと関係が深いホルモンのひとつに甲状腺刺激ホルモン(TSH)があります。

体の中でのホルモンの作用は多岐にわたることが多いのですが、ホルモンが作用する臓器を標的臓器といいます。

TSHはもちろん甲状腺を刺激する、つまり甲状腺の活動を活発化させ甲状腺ホルモンを産生させるように働きます。当然、甲状腺ホルモンが高くなると甲状腺への刺激を下げる必要があるため、TSHは下がります。
この反応をnegative feedbackといいます。脳下垂体前葉から分泌されるTSHについてはさらにその上位の視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により、コントロールされています。

ところが、TRHは脳下垂体前葉から分泌されるPRLも増加させるために、甲状腺機能低下症ではTSHの上昇と平行してPRLが上昇していきます。
PRLが高い値である人の中には甲状腺機能低下症の方がおられます。

甲状腺機能異常の方の症状のひとつに、首のところがはれていることがあります。
また、月経の異常を起こすことがあります。
甲状腺機亢進症では動悸がする、疲れやすい、イライラする、目が突き出てきている感じがするなどの症状があります。甲状腺機能低下症では疲れやすい、無気力になった、浮腫む、便秘などの症状があります。

さらに、甲状腺機能の異常は妊娠の継続を妨げる要因であり、不育症の原因となります。当院では、3回流産を繰り返すか、10週以上の流産で不育症の検査をしているのですが、その検査の中でTSHや甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の値を調べています。
おおまかに、TSHが高く甲状腺ホルモンが低い場合は甲状腺機能低下症となります。
TSHが低く甲状腺ホルモンが高い場合は甲状腺機能亢進症となります。
異常値のレベルや追加の検査値によりますが、それぞれについて、治療必要性や妊娠成立後の注意があり、専門医に診察していただくことが求められます。