医師の田口早桐です。
前回の北宅先生のブログでチンパンジーが取り上げられていましたが、私は今回パンダについて。
上野動物園パンダのシンシンが妊娠しているようです。おめでとうございます。テレビのニュースで、見ました。タイミング療法(つまり自然交配)による妊娠、だそうです。パンダは希少動物であり、ニュース番組を見ていても、飼育スタッフのぴりぴり感が伝わってきました。
通常飼育下におかれているパンダは人工授精を行うことが多いようです。
理由は、メスの発情期が非常に短期であること(なんと一年に一回、2月から5月の間の2週間ですが受精できるのは数日間だけ。)、飼育環境にあると筋力低下もあって交尾が難しいこと、相手の選り好みが激しいこと、などだそうです。
毎月きちんとタイミング療法ができる我々は、恵まれているといえますね。
パンダの人工授精では、まず、ホルモン採血で確認したメスの発情期に、オスパンダから精子を採取しますが、当然のことながら容器を渡してお願いすることはできません。
オスパンダに麻酔をかけ、直腸から電気刺激をし、射精神経を刺激して精子を採取し、同様に麻酔をかけられたメスの子宮に注入する、という方法をとります。
人間の場合でも脊髄損傷の男性から精子を採取する場合は同様の方法を使うときがあります。
ただ、人間の場合はそこまで手間をかけて採取した精子ですから、体外受精をすることが多いですが。
なにはともあれ、シンシンの妊娠が問題なく経過して、無事元気な赤ちゃんパンダを出産されることを願っています。
あと、ご参考までに。
パンダは選り好みが激しいそうですが、オスのメスに対する態度により2つのタイプがあるそうです。
力で押さえつける俺様タイプと尻に敷かれる従順タイプらしいですが、俺様タイプは嫌がられてモテないようです。従順タイプは、メスが少しでも威嚇するとさっとその場を離れて、気持ちが落ち着いたらまた戻ってくるので、結果的に交尾に成功し、「モテる」のだとか。