子宮頸癌の治療

子宮頸癌の治療

以前は、子宮頚部に腫瘍病変があると主に手術による子宮全摘出術が行われていました。もう少し、具体的に話をします。

癌は上皮(臓器や組織の表面にある細胞)が悪性変化を起こすことによりおこります。
癌のでき始めは表面だけであり、子宮についてであれば、筋層への浸潤が無いものは上皮内癌と呼ばれています。

それより進んで、筋層への浸潤が始まるとⅠ期の子宮頸癌、さらに進むとⅡ期、Ⅲ期、Ⅳ期となっていくのですが、Ⅰ期以上の腫瘍については、手術や放射線治療は、必要としても、さらに上皮内癌や前癌病変の高度異形成までが子宮全摘出術の対象でした。

(高度異形成、上皮内癌はCIN3としてひとくくりで治療方針が決まることがあります。CIN:cervical intraepithelial neoplasia)

妊娠の希望がある方からすると、子宮を簡単に摘出することは出来ないわけです。
しかし、子宮頚部上皮内癌や高度異形成(半分程度が上皮内癌に移行する)で姑息手術を行うことは、再発のリスクがあり、子宮頚部の一部のみを切除する円錐切除は第一選択ではありませんでした。

ところが、妊娠、出産する女性が次第に高齢化し、初期の癌であれば、円錐切除のみで、経過観察をすることも、ガイドライン上認められるようになってきました。
高度異形成や上皮内癌では、子宮頚部の円錐切除が第一選択になってきています。
さらに、ごくわずかに筋層への浸潤があるⅠa期(ただし、脈管侵襲をともなわない。
分かりやすく言い換えると、リンパ管や血管に癌が及んでいない場合)においても、慎重を要しますが子宮温存も容認されているようです。

学会でも、最近では悪性腫瘍と妊孕(にんよう)性の温存といった発表されるようになってきています。
ただ、油断は禁物で、進んだものであるほど再発や少し離れたところに腫瘍が残存している可能性がある(skip lesion)ので十分注意が必要ですし、何よりも早期発見が大切です。
そういった意味でも妊娠を希望し、状態の良い子宮を残すためには、子宮頚がん検診は、大切な検査のひとつです。