ESHRE2013・胚着床関連トピックス…その1

ESHRE2013・胚着床関連トピックス…その1

医局カンファレンスです。

ヨーロッパ・ヒト胚生殖医学会(ESHRE2013 London)に出席しました。
着床の分野はお休みして、OHSSについての興味深い結果を発表しました。
その内容はいずれ報告したいと思います。

『複数の胚の着床は乳がんリスクを高める』

エストロゲンやプロゲステロンなどの卵巣ホルモンが、乳がんの発症や進行に関わっていることがよく知られています。これらの卵巣ホルモンは、妊娠中には胎盤からも造られます。

オランダからの疫学研究によると、「複数個の胚を移植してすべて着床した女性」では、将来の乳がん発症リスクが高かったそうです。

胎盤体積の大きい多胎妊娠では、単胎妊娠に比べて、胎盤での卵巣ホルモン合成量が多く何らかの影響があるかもしれませんが、多胎妊娠のなかでも、移植胚数=着床胚数のときにリスクが高いというのに不思議な印象を持ちましたが、気になる内容でした。

聞き逃した部分があるかもしれませんので、論文として発表されるのを待ちたいと思います。

ちなみに日本では単一胚移植が主流になっており、2010年の日本産科婦人科学会の報告でも生殖補助医療による多胎率は約5%にまで激減してきています。

いずれにしても乳がん検診は重要です。
年に一度の定期健診をお勧めいたします。