ESHRE 2013・胚着床関連トピックス…その3 『皮下注射用黄体ホルモン剤』

ESHRE 2013・胚着床関連トピックス…その3 『皮下注射用黄体ホルモン剤』

医局カンファレンスです。

ESHREのような大規模な国際学会では、国内ではまだ認可・発売されていない新しい薬や製品についての情報に触れる機会があります。
今回、黄体補充用の新しい黄体ホルモン剤の話を聞く事ができました。

黄体ホルモン(プロゲステロン)は排卵後の卵胞が変化して出来た組織・黄体から作られるステロイドホルモンで、子宮内膜に作用して、胚着床に重要な役割を担います。
妊娠7-8週ごろから黄体の働きは衰えてゆきますが、このころから胎盤が代わって黄体ホルモンを作り始め、その後の胎盤の形成をサポートします。

現在不妊治療で黄体補充に用いられている黄体ホルモン注射剤は、筋肉注射用のものです。
血管が豊富な筋肉に打つことで血液中へ短時間で移行し、効果が速やかに現れるのが特徴ですが、油性剤であるがゆえに注射部位の痛みが強いのが難点です。

新しく紹介された水溶性の天然型黄体ホルモン剤は、皮下注射が可能で、痛みも少なく患者自身が自分で注射できる製剤です。
投与量は一日一回で従来の油性剤と同量で有効とのこと。

海外ではジェルやペッサリー型などの天然型黄体ホルモン剤もすでに黄体補充に利用されています。
この水溶性プロゲステロン注射剤との比較臨床試験も始まっているようです。

このような肉体的苦痛・精神的負担を軽減できる薬が国内でも早く承認されることを望みます。