医師の田口早桐です。
体外受精周期で卵巣のレスポンスが弱くて採卵できる数が少ない場合、このままとれなくなってしまうのではないかととても心配になるのか、「なにか自分でできることはないでしょうか?」とよく聞かれます。
基本的に、DHEAを服用すること、規則正しい生活を心がけること、ストレスをなくす努力をすること、適正体重を保つこと、などのアドバイスをしますが、よく特定のサプリメントの効果を尋ねられます。
その中でメラトニンについての質問も多いので、ここにひとつ論文をご紹介します。
Fertility Sterility1月号より
Melatonin supplementation during controlled ovarian stimulation for women undergoing assisted reproductive technology: systemic review and meta-analysis of randomized controlled trials
体外受精の調節卵巣刺激においてメラトニンが有効かどうか、というもの。
有効かどうかというのは、採卵数、妊娠率、生産率等が改善するかどうか、というものです。
今までに発表されたデータの中で信頼できると判断したものを集めて集計し、統計処理を加えていますが、結論から言うと、「有効とまでは判断できない」という結果になりました。
ただ、服用されている方、気を悪くなさらないでください。メラトニンが抗酸化剤としての作用を有していることは明らかですし、何よりも今回の調査で、悪い影響はない、ということはいえるのです。
結果として数字に出なくても、いろんな経路を経て、その人の健康や妊娠率によい影響を与えていることだって十分ありますからね。たとえば、きちんと同じ時刻にサプリを飲むことによって生活のリズムが整う、自分が努力していることを再確認できてポジティブになれる、などです。
私も実はいろいろなサプリを飲んでいます。その多くは多分専門家の先生からいうと「エビデンス不足」でしょう。ただ、よく言うことですが、過剰な期待をせず、淡々と、自分にできることをしていく、これに尽きるかなと、思います。