医師の田口早桐です。
男子不妊の患者さんの中でも、「精子の濃度がやや少ない」とか「運動率が少し悪い」程度の方は、不妊治療をステップアップ（つまり体外受精）するかどうか、迷うこともしばしばです。
大抵は不妊期間や、奥さんの年齢、そしてカップルの希望を総合して、判断しますが、ご主人が「なにか現時点で自分自身に出来ることはないでしょうか」と聞いてこられることもしばしばです。その中で、食事に対するアドバイスもよく求められます。
薬のように即効性のあるわけではないですが、食べたものが我々の体を作っている以上、侮れないと思います。ただ、科学的なエビデンスとなると難しい…。そんな中で、最近読んだ論文を2編ご紹介します。
Dairy intake and semen quality among men attending a fertility clinic Fertility Sterility Vol.101, No. 5, May 2014
クリニックを訪れた男性の食事調査の結果と精子所見を解析すると、ローファットミルクを良く飲む人は精子の濃度も多く運動率も良かった。
チーズを良く食べる人は、精子の濃度が低かった。
Sugar-sweetened beverage intake in relation to semen quality and reproductive hormone levels in young men Human reproduction, Vol.29, No.7pp.1575-1584, 2014
甘い飲料（ジュース）を良く飲む人は高速運動精子（運動している精子の中でも元気良く動いている精子）の割合が低かった。とくにやせている人でこの傾向が強かった。
…過度に心配する必要はないと思います。参考にしてください。