精巣上体の大きさとTESE

精巣上体の大きさとTESE

Ultrasonographic caput epididymis diameter is reduced in non-obstructive azoospermia compared with normozoospermia but is not predictive for successful sperm retrieval after TESE ( Human Reproduction, Vol.29, No.7pp.1368-1374, 2014 )

精巣内の精細管で作られた精子は精巣上体という精巣に帽子みたいにくっついている器官に集められます。その帽子の形は後ろが長くなって精巣を囲むように垂れています。帽子の頭に載せるところに相当する部分を「頭部」、垂れている部分を「体部」といいます。
ついでに体部の先に尾部もあります。精巣上体の中で精子は成熟し、貯蔵もされます。

ところで、射出精液内に精子がない場合は不妊治療が進みませんから、精巣からの精子回収を試みることになります。
その場合、精巣で作られた精子が運ばれる道がブロックされているだけの場合と、精巣での精子の製造そのものが少ないもしくはない場合があります。

前者の場合は精巣での精子形成は問題ありませんから、精巣から精子の回収はできます。途中が詰まっていることだけが問題なので「閉塞性無精子症」といいます。
後者の場合は程度により回収が不可能な場合もありますから問題です。「非閉塞性無精子症」といいます。

誰も精巣にメスを入れられたくありませんから、もし絶対回収できない(できる)と事前に分かるのであればよいのですが、残念ながら100%といえる指標はありません。ただ、血清中のFSHが高い場合、精巣容量が小さい場合などは回収できる可能性は少ないということは言えます。

論文では、精巣上体の頭部と体部の大きさを超音波で見て計測し、非閉塞性では閉塞性や正常精液所見の男性に比べて小さいことがわかりました。ただ、精巣からの精子の回収の成否に関しては関係がないことも分かりました。

今後も様々な指標が検討されると思います。
しかし、今のところは、少しでも可能性がある以上はトライすることになると思います。