医師の田口早桐です。
Fertility and Sterility Vol. 102, No. 5, November 2014
染色体が異常でないことが確認された受精卵の着床率は70%程度。
通常の体外受精の40%台という数字から比べると高率ですが、100%ではありません。
ところで、不妊の患者さんと、不妊ではない(と考えられる)患者さんでは、同じように染色体が正常であることが分かっている胚を移植した場合、妊娠率に差が出るのか、ということを調べています。
不妊でない、という推定の正確さは不明です。男女の産み分けのみを目的として着床前診断している場合等を「不妊でない」としています。
結果は、不妊のグループでは不妊でないグループに比べ、着床率や妊娠率が低い、という結果が出ました。
胚盤胞のグレードや染色体が正常であった割合など、他はすべて両グループ間で差がありませんでした。
35歳以上でも以下でも同様の結果でした。
胚の染色体は妊娠に影響する最も大きなファクターですが、不妊のカップルで妊娠しない原因としては、それ以外の要因も有りうることが示唆されました。
個人的には、胚自体に差がなかった、ということが、少し驚きではありました。
さらに詳しい検討が待たれます。