卵子凍結後の心境

卵子凍結後の心境

医師の船曳美也子です。

Does oocyte banking for anticipated gamete exhaustion
influence future relational and reproductive choices?
A follow-up of bankers and non-bankers

D. Stoop Belgium, Human Reproduction,Vol.30, No.2,
pp338-344,2015

ベルギーで、2009年から2011年の間に、卵子凍結相談で来られた方について、来院より1~4年後に電話インタビューして、その後の心境・環境の違いがあったかを調べています。

インタビューで来た女性140名の卵子凍結相談来院時の平均年齢は36.7歳。
ほとんどの方は、パートナーや子どもがおらず、ふさわしい相手を見つけるための時間を買いたいという気持ちで、卵子凍結相談に来られていました。

そのうち、61.4%の86名の女性が少なくとも1回、平均2回の卵子凍結を行い、平均18.8個の卵子を凍結中です。凍結した女性で、もっと若い年齢でしたかった、もう一回凍結したいという女性はそれぞれ、72%、95%と高率でした。

また、卵子凍結した女性で、凍結を後悔している女性は0%でした。

また、相談にきたけれど、受けなかった女性29名のうち、もっと費用がかからなければうけていた、と答えた人が13名、44.8%でした。

卵子凍結については、2013年にアメリカ、および、日本生殖医学会が社会的理由の卵子凍結のガイドラインをだしてから、2014年にはFacebookやAppleが卵子凍結に会社の健康保険を適応するというニュースや、2015年2月に、浦安市が助成金をだす、という動きもありますが、2月26日時点で日本産科婦人科学会の委員会は、
 1)妊娠率が低い
 2)採卵の負担
 3)高齢出産の増加のおそれ
より、卵子凍結を推奨しない方向でまとめているようです。

高齢出産については、もちろん避けたほうが良いのですが、したくてそうなるのではなく、適切なパートナー選びに時間がかかること、結婚年齢の上昇が一番の原因ではないかと思います。
1個の卵子からの妊娠率、および、採卵の負担など、リスクや利点をすべて知ったうえで、技術として利用するかしないか。それは、自分がどう生きたいか、を考えることにつきると思っています。