アンタゴニスト法でAMHの予測性

アンタゴニスト法でAMHの予測性

医師の船曳美也子です。

Ovarian response prediction in GnRH antagonist treatment for IVF using anti-Mullerian hormone O.Hamdine The Neatherlands H&R Vol.30,No.1 pp170-178 2015

体外受精で調節卵巣刺激するとき、個人の反応性に合った調節刺激が望まれます。
一つは、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)をおこさないようにするため。もう一つは、低反応をさけるためです。

今まで、反応性を予測するマーカーとして、ロングプロトコールではAMHが最も有効であるという論文は多く、アンタゴニスト法では数本だけでした。

今回は、アンタゴニスト法でAMHの予測性の正確さを確認しようというものです。

2006年から2011年の間に行われた487人のセトロタイド法を用いた初回のIVF時での卵胞数などを調べ、前もってとられたAMHとの相関を調べました。
4~15個を至適採卵数と考え、3個以下をlow responder 16個以上をhigh responderとしています。
採卵数と年齢、BMI、AMHではAMHが最も相関していました。さらに、AMHとBMIを組み合わせるとより正確に判定できました。また、AMHは低反応よりも高反応をより正確に指摘できました。

さて、どの程度かといいますと、ROC分析の結果、最適と分析されたAMH値は4.45μg/lで、それ以上の値で実際に高反応にでる確率は57%、それ以下の値で実際に高反応にならない確率は90%です。
ですので、OHSSを避けるにはいい数字ですが、加減しすぎると予想より低反応になるかたが40%いるということになります。

現在のところ、OHSS対策としては、排卵誘発法を変える、トリガーを変える、全部凍結する、採卵後にドーパミン作動薬を投与する、といった対策で重症化することはまずなくなりました。
今後も、個々人にあった刺激法で丁寧に治療を進めたいと思っています。