残留農薬の精液所見に対する影響

残留農薬の精液所見に対する影響

医師の田口早桐です。

Fruit and vegetable intake and their pesticide residues in relation to semen quality among men from a fertility clinic
Human Reproduction, Vol.30, No.6pp.1342-1351, 2015

果物や野菜というと体にいい食べ物の代表のように思いますが、その中には農薬も残存していることはよく言われます。農薬の量によっては、食べてれば食べるほど体に悪い、ということもありえます。怖いことですが。

この論文では、精液所見に対する影響を調べています。アメリカの論文です。

不妊治療クリニックを受診した男性について詳細な問診をとり、果物と野菜の消費量を計算し、また、アメリカ農務省が報告している、食品ごとの残留農薬を参考に、

 1. 残留農薬が*多い*野菜果物を食べている人を食べている量によって4つのグループに分け、
 2. 残留農薬が*少ない*野菜果物を食べている人を食べている量によって4つのグループに分けて、

精液所見への影響を見ています。

結果、驚くべきことに、残留農薬が多い野菜果物に関しては、消費量が多ければ多いほど、精子の質が下がり、運動率が下がること。

残留農薬が少ない野菜果物は、消費量が増えても影響はなく、一番消費量の多い人たちでは精液所見がやや良い傾向にあった(有意な差ではありません)、ということが分かりました。

この研究は、まだ継続中で今は途中経過ですが、早く最終的な結果を知りたいですね。

今日医局でこの論文で盛りあがりました。論文中に具体的な食品名は出ていなかったのですが、ある先生は、「『よく洗って皮をむいて加熱しなさい』とか、アドバイス欲しいよね。」と不服そうでした。