子宮内膜ポリープと不妊治療

子宮内膜ポリープと不妊治療

当院では積極的に不妊症にかかわる手術を行っており、手術後にたくさんの患者さんが妊娠されています。

多くは子宮筋腫と子宮内膜ポリープです。その他に、卵巣のう腫や卵管水腫、子宮内膜症性卵巣のう胞(チョコレートのう胞)があります。手術を待たれている患者さんも多いのですが、妊娠に向けて、少しでも、よい状態の子宮や卵巣になるように考えて、手術を行っていきたいと思います。

今回は子宮内膜ポリープについてお話しします。

子宮内膜ポリープは、胚が着床する子宮内膜の部分に出来るものです。正常な内膜部分より発生して、内膜の部分に盛り上がりを作っていきます。
子宮内膜ポリープは多発することが多いのですが、子宮内膜ポリープが子宮内に出来た場合、正常な内膜部分と内膜ポリープの部分が混在することになります。胚がうまく正常な部分に着床できればよいのですが、内膜ポリープの部分があれば、正常な内膜部分が少なくなり、着床を妨げることになります。

また、卵管口近くに内膜ポリープがある場合は、それを切除することにより、自然妊娠の率が上がったとの報告もあり、これは、卵子の通り道である卵管口周囲にポリープがあることによって、卵子の移動をさまたげていると推測されます。

一般に、1cmを超える内膜ポリープについては、超音波上発見しやすいのですが、サイズがそれ以下のポリープについては子宮鏡を行ってみないと分かりません。
当院では、体外受精等でなかなか着床されない患者さんに積極的に子宮鏡を行っています。その際に2~5mmのポリープを発見することも多く、このようなポリープも子宮鏡の手術で切除することにより、その後の、着床妊娠継続につながることも多く経験しています。

実際には超音波で分からないような1cm以下のポリープを切除することについては意見が分かれるところですが、当院では今までの経験を踏まえて、積極的に手術を行っていきます。

あと余談ですが、子宮内膜癌は統計的に妊娠既往のない方や不妊症の患者さんに発生することが多いとされています。子宮内膜ポリープ切除の際に偶然極初期の子宮内膜癌が見つかることがあります。
ただし、その場合適切な治療後、ふたたび不妊治療できることが大半です。実際に妊娠出産されているかたもおられます。