胚培養士の天野です。
10月19~21日にボルチモアで開催された、ASRM(アメリカ生殖医学会)に行ってきました。当院は毎回参加しており、今回もドクター、培養士合わせて3つの演題の発表がありました。私自身は2年ぶりのASRMでした。
生殖医学会というと、以前は不妊治療の為の体外受精に関する演題がメインでしたが、今回はドネーションや社会的理由による卵子凍結保存、トランスジェンダーのカップルが子供を持つ為の取り組みなど、体外受精の技術を前提とした、不妊治療とは若干異なる分野の発表が増えていました。
世界各国からこれらのセッションに演題が出されていたので、これはアメリカだけでなく世界的な流れなのだと思います。本邦でも、ドナー卵子・精子を用いた不妊治療が国内で認可されるのを待っている方や、トランスジェンダーの方も増えていると思われます。また、当院においても社会的理由による卵子凍結保存をされる方がたくさんおられます。
これらは技術的には体外受精関連の技術として確立しているのですが、その技術を使うことによる社会的或いは倫理的影響について、本人のみならず将来生まれてくる児のことも考慮する必要があります。
現在、本邦では法による規定はなく、関連学会等、実施者側の判断に委ねられていますが、ドネーション等の導入や実用化に向けた環境整備が急務だと感じました。