胚のグレード別やDay5及びDay6での妊娠率、着床率

胚のグレード別やDay5及びDay6での妊娠率、着床率

医局カンファレンスです。

Day5(D5)とDay6(D6)の胚盤胞で着床前診断を行い、胚のグレード別やD5及びD6での妊娠率、着床率について検討した論文を紹介します。

2013年から2016年で胚盤胞での着床前診断を行い、その後凍結融解胚移植を行いました(701周期:D5 366周期、D6 335周期)。
患者背景に有意差はありませんでした。
まず、D5とD6での生産率はそれぞれ60.4%、44.8%でD5が有意に高かったです。

そして、胚のグレード別での検討では、生産率はそれぞれ良好胚(3BA以上)67.8%、標準胚(2-6BB)53.4%、不良胚(2-6BC、2-6CB)29.5%でした。


また、D5の良好胚ではD6の良好胚と比較して、生産率(72.8%vs56.5%)着床率(77.7%vs58.7%)でどちらも有意にD5良好胚で高い結果でした。D5、D6の標準胚では着床率でD5が有意に高く(64.4%vs53.4%)、生産率では有意差はありませんでした。
また、不良胚では生産率、着床率に有意差はありませんでした(生産率33.3%vs28.2、着床率44.4%vs35.3%)。

(解説)
一般に着床前診断で問題ない胚の着床率は約60-70%といわれています。
ただ、問題ないと判断された胚でも、何日目で検査したかや胚のグレードはさまざまです。この結果から、やはり早くに成長する胚がより良いということと、早くてもグレードが悪いと生産率や着床率は半分に減ってしまうということです。
むしろ、D6胚でも標準胚以上なら約50%以上の生産率はあるということです。
過去の報告にも同様の結果は多数報告されています。

また着床前診断で異常がないと思われる胚を移植しても約30-40%は出産まで至りません。
その理由は、子宮内膜の状態、卵管因子(卵管水腫など)、胚と子宮内膜の非同調性、微小血栓、潜在性免疫異常などが考えられます。着床前診断をしなくても良い胚は着床するかもしれませんが、流産率を最大限に減らすには着床前診断をすることが有効といわれています。
最近の論文でも、流産率を減らし、とくに37歳以上ではコスト面でも着床前診断を行うことがよいのではという意見もあります。
今後、着床前診断の精度の向上により、妊娠率の改善に結びつくことを望みます。