医局カンファレンスです。
IVFにおける免疫治療に関するASRM(アメリカ生殖医学会)のガイドラインがFertility and Sterilityに載っていたので紹介します。(Vol.110,No.3,August 2018,387-400)
① 低用量アスピリンを常に使用することでARTでの生産率が上昇することはない。
② コルチコステロイドを常に使用することでARTでの生産率が上昇することはない。
③ コルチコステロイドを着床時期に常に使用することで生産率が上昇することはない。
④ G-CSFの局所投与によって子宮内膜厚の改善や臨床妊娠率が上昇することの証明は不十分である。
⑤ 脂肪乳剤(イントラリピッド)使用することを不妊患者に推奨するには証明が不十分である。
⑥ 免疫グロブリン投与で妊娠率の改善効果は証明不十分である。
⑦ アダリムマブ投与による妊娠率の改善効果は証明不十分である。
⑧ 自己リンパ球の子宮内投与による妊娠率の改善は証明不十分である。
⑨ 精液の子宮内投与は臨床妊娠率の改善効果は認められるものもあるが、妊娠継続および生産率の改善効果は証明不十分である。
⑩ 抗精子抗体を除去した体外受精結果の改善効果は証明不十分である、
⑪ タクロリムスのIVFでの妊娠率の改善効果は証明不十分である。
(解説)
上記のような治療は、主に原因不明不妊や反復着床不全、不育症の方に試されていることが多いです。
まだまだ論文が少なく、はっきりした結論が出せないのが現状です。
しかし、アスピリン、ステロイド、G-CSF、脂肪乳剤、免疫グロブリンでは有効性があるとしている論文も少なくはありません。今後の症例の蓄積による結論を待ちたいです。