医師の船曳美也子です。
最近、生殖医療分野の論文では、ビタミンD摂取の重要性が、ますます指摘されるようになってきました。
例えば、Human Reproductionのメタアナリシスでも、ビタミンD濃度と体外受精の成功率との関係が検討されています。
(Hum Reprod. 2018 Jan 1;33(1):65-80. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29149263)
著者らは、厳格な選択基準により選んだ質の高い11論文より、2700名の不妊治療の効果とビタミンD濃度の関係をみています。
結果は、ビタミンD濃度が不十分(20~30 ng/mL)あるいは不足(<20 ng/mL)の方と比べ、十分(>30 ng/mL)な方のほうが、46%も臨床妊娠率が有意に高かったようです (OR 1.46 [1.05-2.02])。
また、今回の11本の論文のうち、7本の論文については出産率まで検討されていたのですが(対象は2026 人)、ビタミンD濃度が不十分(20~30 ng/mL)あるいは不足(<20 ng/mL)の方と比べ、十分(>30 ng/mL)な方は33%出産率が有意に高かったようです。
ただ、この研究結果が日本人に適用できるか否かは、まだ不明です。今後は、日本人での検討が必要ですが、いずれにせよ、ビタミンD濃度が不十分または不足している不妊治療中の方が、洋の東西を問わず多い印象を受けました。
さて、本格的な猛暑ですね。通常、ビタミンDは紫外線を浴びることで、体内で生成されるので、外に出て陽射しを適度に浴びれば(15分でよいとされています)、ビタミンD不足の方にとっては、不妊治療の効果が改善すると思われます。ただ、今は暑すぎて、そうも、いっていられないし、紫外線対策も必要…となると、採血でビタミンD不足(あるいは不十分)と判断された方々については、ビタミンDサプリメントでの補給が有力な選択肢になるでしょう。
酷暑を乗り切り、良い結果がもたらされますように、患者様1人1人の状態を考えながら他の方法との最適な診断・治療の組み合わせを提案し、サポートしていきたいと思っています。