医師の田口早桐です。
The euploid blastocysts obtained after luteal phase stimulation show the same clinical, obstetric and perinatal outcomes as follicular phase stimulation-derived ones: a multicenter study
Human Reproduction 9月号から
以前、DuoStimという、1周期に2回採卵する方法を紹介しました。当院でも最近よく行います。卵巣機能低下のために1回あたりの採卵数が期待できない場合にとても有効です。以前の論文では、DuoStim、同周期の2回目の採卵で得られた受精卵と、別周期の2回目の採卵を比較するものでした。
今回ご紹介する論文は、その進化形のようなものです。比較するサンプル数も格段に増えて、897例です。以前ご紹介した論文は100例程度でした。卵胞期から刺激を開始しての採卵(FPS)と、1回目の採卵の5日後、黄体期から刺激を開始する採卵(LPS)の比較です。生産率の比較が主たる目的、その他、妊娠率、流産率、化学妊娠率等も比較しています。
結論として、FPSとLPSによって得られた受精卵の染色体正常卵が取れる率に差はなく、その胚を融解胚移植したときの、生産率、妊娠率、流産率、すべて差がありませんでした。
染色体正常卵のみを移植しているので、FPSとLPSで生産率は66%と64%、妊娠率は53%と48%となっています。妥当な数字だと思います。
結論として、卵巣の反応が良くない場合、少しでもチャンスを増やすために、同一周期に2回採卵するのは有効であろうと思われます。採卵が続くので疲れる、という場合は無理しないほうがいいですが、期間の制約がある場合などは、積極的に取り入れてよいと思います。