オーク会検査部です。
移植する胚や凍結する胚を選ぶ基準は、形態的評価、つまり胚の外観の評価によるものが一般的で、胚盤胞の場合はガードナー分類が広く用いられています。
ガードナー分類は、胚盤胞の発育速度、内細胞塊(Inner Cell Mass; ICM 将来胎児になる細胞)の細胞量、栄養外胚葉(Trophectoderm; TE 将来胎盤になる細胞) の細胞量の組み合わせでグレーディングを行います。詳細は下の表をご参照ください。
一般的には、受精後5日目で3BB以上のものが良好胚盤胞とされています(写真1)。
施設によっては、良好胚盤胞以外は移植も凍結もしないというところもあるようです。
ですので、Cの判定がつく胚盤胞、1や2の胚盤胞を凍結するというと驚かれる方もおられます。中には、複数の胚盤胞が凍結できたにもかかわらず、3BB以上の胚盤胞がなくて落ち込んでしまった患者様もいらっしゃいました。
良好胚盤胞の着床率が良いのは確かです。しかしながら、良好胚盤胞以外は着床しないということはなく、グレードが良い順に移植して着床せず、最後に残った一番グレードが低い胚が妊娠出生に至ったということも珍しいことではありません。
写真2は6日目5CCの胚盤胞です。発育は遅めで、ICMもTEも細胞量は少ないですが、この胚盤胞は3回目の融解胚移植に用いられ、着床に至りました。また、このほど転院先で無事にご出産されたとのご連絡をいただきました。
私たち胚培養士は、毎日たくさんの卵(受精卵、胚、胚盤胞)を観察し、グレーディングを行なっています。前回観察時と比べてゆっくりでも発育が進んでいるもの、少ないなりに細胞数が増えているものは、低グレードでも妊娠の可能性があるということが分かっていますので、当院ではそのような胚盤胞も移植、凍結の対象としています。
もしご自身が移植したのがいわゆる良好胚盤胞ではなかったとしても、悲観せず、その胚盤胞の妊孕性を信じてあげてほしいと思います。