Oak Journal Review:質の低い胚を質の良い胚と一緒に移植した場合の出産率への影響は?

Oak Journal Review:質の低い胚を質の良い胚と一緒に移植した場合の出産率への影響は?

検査部の奥平です。

3月15日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。

紹介する論文は、
Is transferring a lower-quality embryo with a good-quality blastocyst detrimental to the likelihood of live birth?
Hill MJ, Eubanks AE, Csokmay JM, Christy AY, Jahandideh S, DeCherney AH, Devine K, Levens ED, Connell MT
Fertility and Sterility. 2020 Aug;114(2):338-345.
です。

胚と子宮内膜は相互作用しており、異常な胚が存在すると子宮内膜に変化が起きることが示唆されています。また、質の良い胚では子宮とのポジティブなクロストークが、質の低い胚ではネガティブなクロストークが発生することも報告されています。

体外受精周期(新鮮胚移植)において、2個胚移植を行いたいが、質の良い胚が1個だけ移植可能であり、残りの胚が最適ではないケースがよくあります。この場合、質の良い胚1個のみを移植すべきか、質の低い胚を追加して2個移植をすべきか悩まれると思います。もし2個移植を選択しても、「せっかく良い胚を移植するのに、質の低い胚が足を引っ張ってしまうのではないか?」という不安がよぎります。

そこで今回紹介する論文では、胚の質が子宮内膜の受容性に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆する証拠があることから、質の低い胚を質の良い胚盤胞と一緒に移植することで、妊娠に悪影響があるかどうかを検討しています。

詳細は動画をご覧ください。