Oak Journal Review:受精評価の最適なタイミングは?

Oak Journal Review:受精評価の最適なタイミングは?

検査部の奥平です。

10月4日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。
今回ご紹介する論文は、

Optimisation of the timing of fertilisation assessment for oocytes cultured in standard incubation: lessons learnt from time-lapse imaging of 78 348 embryos.
Barrie A, Smith R, Campbell A, Fishel S.
Hum Reprod. 2021 Sep 18;deab209. doi: 10.1093/humrep/deab209.

です。

タイムラプスイメージング(TLI)を用いることで、卵や胚を培養したまま24時間継続して観察・記録することが可能となります。これにより、通常の顕微鏡観察では見逃す可能性がある胚の発生イベントのタイミングや形態をモニタリングできます。しかしながら、タイムラプスシステムは高価な機器であり、また、妊娠成績に対する効果のエビデンスは不十分である(Cochrane Database of Systematic Reviews, 2019)ため、全ての不妊治療施設で使用しているわけではありません。

TLIを使用しない通常の顕微鏡観察では、卵や胚を培養器の外に出して観察する必要があります。ゆえに、卵や胚への負荷を最小限にするために観察回数は限られ、最適なタイミングで発生イベントを評価する必要があります。一般的に、受精評価、分割・胚盤胞評価のために観察が行われますが、この中でも特に重要だと考えられているのは受精評価です。2011年にヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)で作成されたイスタンブールコンセンサスでは、受精評価は受精後17±1時間(hpi)で行うことが推奨されていますが、17±1 hpiよりも早く受精評価を行う方が適切な場合があるとも述べられています。本研究では、78,348個もの胚を用いて、TLIにより受精後の前核出現および消失の時間を記録し、最適な受精評価のタイミングを検討しています。
詳細は動画をご覧ください。