Oak Journal Review:ICSIの受精率は累積出生率の新たな指標となる

Oak Journal Review:ICSIの受精率は累積出生率の新たな指標となる

検査部の奥平です。
10月25日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。
今回ご紹介する論文は、

Fertilization rate as a novel indicator for cumulative live birth rate: a multicenter retrospective cohort study of 9,394 complete in vitro fertilization cycles.
Scaravelli G, Zacà C, Levi Setti PE, Livi C, Ubaldi FM, Villani MT, Greco E, Coccia ME, Revelli A, Ricci G, Fusi F, Vigiliano V, De Luca R, Bolli S, Borini A.
Fertil Steril. 2021 Sep;116(3):766-773.

です。

累積出生率(採卵周期で得られた受精卵を用いた移植全ての総合成績)は周期全体での妊娠の成功率を表しているため、体外受精における適切な結果指標として重要視されています。これまでに、年齢、不妊期間、ベースラインのホルモンレベル、卵胞数、卵子数、卵子・胚の質など、いくつかのパラメータが妊娠結果と関連していることが報告されています。さらに、新しい、より包括的な妊娠の予測因子の探求が続けられています。そこで、今回の論文の著者らは受精率に着目しています。受精率は卵子と精子両方の能力を反映しており、卵胞数や採卵数といった卵子側だけの要因に比べてより包括的な指標となると考えられるからです。また、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)のウィーンコンセンサスにおいても、受精率は、ラボ、培養士、配偶子の能力を評価するために、体外受精の重要なパフォーマンス指標として採用されています。ちなみにこのコンセンサスでは、ICSIの受精率において、最低限達成すべき値として65%、目標(理想)値として80%を掲げています。

本研究では、各周期をICSIの受精率に応じて3つのグループ(グループ1: <65%、グループ2:65~80%、グループ3:>80%)に分け、累積出生率を比較しています。
詳細は動画をご覧ください。