朗報!年齢制限撤廃?! がん治療前後の生殖医療の助成制度 

朗報!年齢制限撤廃?! がん治療前後の生殖医療の助成制度 

医師の田口です。

4月から、体外受精に対する保険適用が始まることはすでに何度もお知らせしている通りですが、厚生労働省の検討会が、がんなどで治療を受ける前に卵子や精子、受精卵などを凍結保存すること、また治療後に受精させたり移植したりすることについて、助成制度を設けることが決定されました。

「AYA世代」と呼ばれる15~39歳では、毎年約2万人ががんを発症しています。
治療前に治療後に子どもを持つことを望んで配偶子や胚を凍結する例が、年々増えています。
当院でも相談件数が5年程度前の数倍になっており、珍しいことではなくなっています。
とくに多いのは、卵子を凍結してから治療に臨み、治療後にその卵子を使って受精、移植、というパターンです。
(都道府県のHPのリストには当院がまだ載っていませんが、申請済で、実施可能ですので、ご希望の方はお問合せください。)

このような症例は、現在、卵子凍結(厚生労働省の妊孕性温存療法研究促進事業で「卵子・精子などの凍結保存の助成」)→受精・移植(特定不妊治療費助成事業で「生殖補助医療の助成」)の流れで助成を受けつつ治療を受けることができますが、4月からの保険適用開始とともにこの制度が中止、「不妊症」の病名がつかないことで、保険適用外となり、全額自費負担を余儀なくされるところでした。
しかし今後は、卵子・精子等の凍結保存およびがん治療後の生殖補助医療のいずれもが、妊孕性温存療法研究促進事業で費用助成を受けられることになります。

また、私が注目したいのは、治療後の生殖医療の年齢制限が引き上げられる可能性があること。
卵子を凍結したのが、41歳としても、治療をきちんと終えてから妊娠を考えるという場合には、43歳を超えてしまうことが充分想定されるからです。これもまた、朗報です。
がんなどの病気以外にも、介護など、やむを得ず、妊娠を遅らせることもありますし、先のブログにも書いたように、このまま、生殖医療の女性の年齢制限撤廃になって欲しいと思います。
今後の動きを注視したいと思います。

https://www.asahi.com/articles/ASQ3C5K7RQ3CULBJ00J.html