医師の田口です。
健康保険組合連合会(健保連)が3月8日に「健保組合医療費上位30疾病に関する動向調査」を公表しました。これは、主に大企業などに努める社員とその家族について、医療費の保険請求に基づいて分析したものです。調査対象は、2021年7月分のレセプト請求。https://www.kenporen.com/toukei_data/pdf/chosa_r03_03_02.pdf
それによると、医療費シェアのトップ3は、
①COVID19(3.34%)
②本態性高血圧(3.16%)
③喘息(2.60%)
でした。やはり、コロナの影響が大きいですね。
次に女性のみに絞ると、
①乳房の悪性新生物(女性の医科医療費全体の3.45%)
②COVID19(3.34%)
③喘息(2.70%)
という結果でした。
乳房の悪性新生物というのは乳がんのこと。女性の場合は乳がんが医療費に与える影響が大きいですね。
次に「入院」に限定して見てみると、
①COVID19(入院医療費全体の4.06%)
②心房細動および粗動(2.42%)
③脳梗塞(1.97%)
となりました。
女性のみで見てみると、
①COVID19(女性の入院医療費の4.19%)
②乳房の悪性新生物(3.37%)
③子宮平滑筋腫(2.96%)
となり、上位3疾患で、女性医科入院医療費の10%を占めています。
子宮平滑筋腫とは、子宮筋腫のことです。
「入院外」つまり外来で見ると、全体では
①本態性高血圧(3.99%)
②喘息(3.27%)
③COVID19(3.11%) となりました。
外来医療費を女性のみで見ると、
①乳房の悪性新生物(3.48%)
②喘息(3.4%)
③COVID19(3.07%)
やはり上位3疾患で、約10%を占めています。
現在、不妊治療は上位に出てきませんが、今後不妊治療の保険適用が開始されるとどのように推移していくのか、注目しています。このデータの中で不妊に関連するものとしては、医療費全体に占める割合として、⑬子宮平滑筋腫(1.33%)㉑ 女性生殖器及び月経周期に関連する疼痛及びその他の病態(0.97%) ㉚卵巣の悪性新生物(0.77%) あたりになると思います。
入院外来ともに影響値の大きい乳がんは女性の12人に1人が罹患すると言われています。適切な検診で早期発見につながるようにしていきたいですね。また、不妊治療によって、定期的に診療を受けることにつながり、子宮や卵巣の疾患の早期発見につながることも大いに期待できるのではないかと思います。