医師の田口です。
すでにマウスのES細胞からは精子が作られて、その精子を使ってマウスの子供が生まれて順調に育つことが確認できています。
今回、東大のチームがそれをラットで成功させました。ヒトでの実用化に向けて一歩進んだと言えます。
「ラットは、一般的にマウスよりも試験管内での細胞培養に厳密な条件が必要で、その特徴はヒトやその他多くの動物種と共通している」ので、今回のプロトコールが、ヒトESからの精子・卵子の元の作成への橋渡しになる可能性が大いにあります。
たとえばヒト皮膚繊維芽細胞からの正常な精子、卵子作成が現実味を帯びてきます。むろん、細かく、複雑で、長期にわたる安全性チェックが必要となりますが。この先、研究の行方を注視したいと思います。
<参考文献>
東大医科学研究所のプレスリリース(2022年4月9日にアクセス):
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00164.html
Science誌の論文:
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abl4412