最近のトピック

最近のトピック

医師の岩本です。

最近、精子の数や運動率だけでなく、不妊に結びつく「質」が問われています。

精液検査が正常にもかかわらず妊娠に至らない、人工授精を頻回に行ってもうまくいかない。その後はステップアップして採卵後体外受精、顕微授精を行ってみても妊娠に至らない場合には精子機能に問題がある場合があります。通常の精液検査を行う際に、残った精液を使用して質の検査、次のDFIとORPを行うことが一般的になってきました。

I DNA 断片化指数検査(DFI:DNA fragmentation Index )

通常の精液検査で、精子が DNA の損傷を受けている割合(断片化率)が高いかどうかを見る(精子の質)高度精液検査です。精子が酸化ストレスなどのダメージを受けると、精子の DNA が損傷することがあります。加齢によっても促進されるといいます。胚発育不良の原因にもなります。

II ORP検査(Oxidation Reduction Potential:精液中酸化還元電位測定検査)

精液中の酸化還元電位(酸化ストレス度)を測定する検査です。酸化ストレスは、精子DNA損傷の主な原因とされています。不妊症の男性は、精液中の活性酸素濃度が高く、抗酸化物質の濃度が低い可能性があります。WHO精液検査マニュアルでも、酸化ストレスを男性不妊に大きく関わる重要なパラメータとして認めています。精液中の酸化ストレスが高い場合は、酸化ストレスを下げるように生活習慣の改善や、抗酸化作用があるサプリメントの摂取などが有効です。

これらの検査はWHOラボマニュアル6版(2021)にも掲載されていて今後の精子の質が明らかになっていくものと思われます。日本でのDFI/ORPのカットオフ値は独協医大埼玉医療センターのデータを参考に行っています。幣院におけるDFI/ORP検査につきましては下記をご覧ください。

https://www.oakclinic-group.com/male_sterility/dfi_orp.html