医師の田口です。
2022年度診療報酬改定の中で、医療機関間の情報連携を強化するための見直しが行われているようです。
以前からの、紹介状なしで受診する患者から定額負担を徴収する責務がある医療機関(現行の特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院)に加え、一般病床200床以上の「紹介受診重点医療機関」を新設。対象患者の診療にかかる定額負担の額も見直し、医科の初診は7000円、再診は3000円となります。
要するに、紹介状の必要な医療機関の対象範囲が拡大することになります。
全体的に、入院のみならず外来医療に関しても機能分化・連携の強化が重要テーマとなり、まず「地域のかかりつけ医機能を持つクリニックや中小病院」を受診し、そこから「高機能病院の専門外来」を紹介してもらうという流れを強化することが目指されています。
今回の不妊治療の保険適用に際しても、やはり医療機関同士の連携の強化が目指されていることを感じます。
一般不妊治療を行う際に、3か月に1回、【一般不妊治療管理料】を算定するのですが、その施設基準として、「生殖補助医療管理料に係る届出を行っている又は生殖補助医療管理料に係る届出を行っている他の保険医療機関と連携していること。」という条件が求められています。
つまり、クリニックで一般不妊治療を行っているときに、ARTを行うクリニックとの提携が必要になるのです。
理由は明記されていないものの、一般不妊治療を行うクリニックとART施設との連携を強化して、患者さんがより柔軟に選択できるように、遠方のART施設に毎日通わなければいけないような状況を避けて、近医でできることは近医でおこなう、というように負担を減らすことをが目的とされているのではと思います。
当院も、普段から、ART周期における注射や超音波検査を患者さんの近くのクリニックに依頼することも多いですし、またその中でも頻繁にやり取りする連携クリニック(アソシエイツ)とは、採卵、移植以外の殆どの過程を連携クリニックで行っています(もちろん患者さんのご都合に合わせて)。
例)アソシエイツ
上本町ヒロミレディースクリニック https://hirocli.com/
体外受精の黎明期には、九州まで1か月泊りで不妊治療を受けてくる、というようなこともよく聞きました。今では、ARTクリニックも数多くできていますが、やはり地域に偏りもあります。
デジタル化等で情報共有が格段にやりやすくなっている時代ですので、できるだけ、いろいろなリソースを駆使して、患者さんの負担が減るといいなと思います。