加齢とともにX染色体が失われていきます

加齢とともにX染色体が失われていきます

染色体というのは簡単に言うと遺伝子の束で、人間は23対の常染色体と男性ならXY、女性はXXという性染色体を持っています。

受精卵の染色体が異常だとほとんどが流産になり生まれてくることができません。
簡単に言うと、プログラミングがバグっているのでコンピューターが走らなくなるようなものです。
受精卵の分割が進まない、着床しても流産してしまう、ということになります。

受精卵の染色体異常は思っているより頻繁に起こりますから、実際に検査してみたら35歳の女性からの受精卵だと半分近くが染色体異常です。この数字は、女性の年齢が上がるにつれて上がります。

もうひとつ受精卵の染色体異常が増える原因があります。それは、男性か女性かどちらかに、染色体の一部が入れ替わっている、「転座」という状態がある場合です。この場合、女性なら卵子、男性なら精子を作る際に、染色体が異常なものを高率に作ってしまいます。
なので、結果として染色体異常の胚が多くできることになります。

このようなことがあるために、不妊のカップルに染色体異常の有無を検査することがあります。
やり方は簡単で、採血をするだけです。体のどの細胞も染色体をもっていますが、通常はもっとも簡単に、採血で検査をします。

その検査で時々あるのが、女性の染色体モザイクです。XXが通常の女性ですが、その細胞に交じって、片方のX染色体がなくなってしまっているX0という細胞が混じっています。

45X0、つまりもともとX染色体が1本しかない状態で生まれると、ターナー症候群と言います。この場合、排卵がなく、妊娠することが不可能になります。ただし、XXとX0が混じったモザイクの女性の場合は、排卵があり妊娠出産が可能な場合もあり、それはモザイクの程度(X0細胞の割合)によるといわれています。

検査でX0のモザイクだった女性のほとんどは、ターナー症候群のモザイク型だったというわけではなく、加齢によってX染色体が脱落していった結果、XOの細胞が混じったモザイクになっているという状態です。これは加齢によって増えることが分かっています。

【引用元】http://www.cytogen.jp/index/pdf/02-d.pdf


ただ、この状態になることで、排卵しづらくなるのか、または着床しづらくなるのか、わかっていません。
論文のなかには、流産率が増える可能性を示唆したものもあります。

実はX染色体は2本あってももともと1本しか働かないようになっています(X染色体不活化といいます)が、それはまた別の機会にブログに上げていこうと思います。


【参考文献】