マイコプラズマ性感染症

マイコプラズマ性感染症

2024年5月25〜26日に東京で開催された第40回日本産婦人科感染症学会が開催されました。
この学会の役員も務めていることから本年も参加してきました。今回はこの中でマイコプラズマによる性感染症についての最新の知見をご紹介します。

マイコプラズマは細菌の一種で、肺炎などを起こすことでよく知られていますが、マイコプラズマ・ジェニタリウムなどの4菌種は性感染症として、女性では子宮頸管炎、男性では尿道炎を引き起こします。

症状は、女性では、おりものの増加や匂い、不正出血、陰部のかゆみや痛みなど、男性では、排尿痛、尿道のかるい痛みやかゆみ、尿道からの膿などです。
これらの症状の多くはクラミジア、淋菌、カンジダ感染によるものですが、マイコプラズマによるものもあります。この場合、多くは軽症状で、無症状キャリアのこともあります。

これらの症状に心当たりがある場合には、まずは受診していただき、女性では子宮頸管より分泌物を採取して、クラミジア、淋菌、カンジダなどを調べます。結果は1週間以内に判明します。
これで陰性であった場合には、再度子宮頸管の分泌物を採取して「トリコモナス/マイコプラズマ・ジェニタリウム同時核酸検出」を検査します。2022年4月から保険で検査できるようになったことから、検出しやすくなりました。

マイコプラズマ・ジェニタリウムが陽性であれば、抗菌薬(抗生物質)で治療します。
ただし、最近は抗菌薬に耐性の株も出てきているので、担当医とよくご相談下さい。

無治療の場合には、子宮内膜炎、卵管炎など、炎症が次第に上方に拡がり、不妊や流早産を引き起こすことがあるという報告も散見されますが、関連性は必ずしも確定していません。
しかし、生殖医療を受けているカップルでこれらの症状に心当たりがある方は、担当医にご相談いただくことをお勧めします。

【参考文献】

・日本性感染症学会ホームページ、最新ニュース.http://jssti.umin.jp/

Mycoplasma genitalium infection in the female reproductive system: diseases and treatment.

Genital mycoplasma infection: a systematic review and meta-analysis.