不妊治療のゴールは、妊娠することではありません。新しい命が芽生え、お母さんのおなかの中で大切に育まれたのち、この世に生を受ける。その後、家族の一員として迎えられる。神聖で尊い営みです。順調な妊娠経過と安全な出産が必要であることは疑いの余地がありません。しかし、時には細心の注意を払ってもうまくいかないこともあります。
流産の原因が本人の不摂生ではなく、受精卵の染色体異常によるものである、という事実は知られてきていますが、新生児期の疾患の多くが遺伝的要因によるものであることもわかるようになってきました。今まで原因不明として扱われてきた異常も、遺伝学的検査によって遺伝的要因であることが判明することが多くあります。実際、新生児死亡の20〜30%、入院が必要なケースの11%が遺伝的要因に起因しています。遺伝子の変異や異常が原因で発症する疾患は、早期の診断が難しく、適切な治療が行われないと重篤な結果を招くことがあります。
子供を持つまでの過程を、「(遺伝学的検査が身近になった時代の)生殖の旅」と名づける論説がありました。Reproductive Journeyという言葉が、とても腑に落ちました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7767043/
その旅は、妊娠を希望する段階から始まります。プレコンセプションケアで行う検査の中で、保因者スクリーニングは、遺伝性疾患のキャリアを確認し、妊娠に向けた計画を立てるのに役立ちます。遺伝子の変異そのものは、すべての人が保有していますが(保因)、その中でカップルで同じ遺伝子変異を共有していることで子孫に病気が発症する可能性があります。
体外受精(IVF)を行う場合には、着床前スクリーニングや検査(PGT-A、 SR、M、 P)によって、健康な胚を選択することが技術的に可能です。
また、妊娠が成立した後は、絨毛や羊水を用いた出生前診断を通じて、胎児の遺伝子情報を詳細に分析し、潜在的な異常を早期に発見することが可能です。
出生後には新生児の遺伝子検査によって、早期診断と治療を行うことが可能になります。
次世代シーケンサーやバイオインフォマティクスの発展により、遺伝学的検査はより詳細で正確になり、コストも安価になっています。これにより、より多くの方々が遺伝子検査を受けることができるようになりました。生殖における様々な段階での検査が技術的には可能です。ただ、倫理的な問題や、遺伝学的検査から推測される症状の正確性など、まだまだ問題は山積されています。
遺伝に関する知見が集積するにつれ、それを用いることに対して様々な批判的な意見もあります。ただ、個人的に思うのは、遺伝学的な見地を広げれば広げるほど、逆に遺伝に関する偏見から自由になれる気がします。
新生児期の疾患の多くが遺伝的要因によることを考慮すると、早期の遺伝子検査が極めて重要です。医療法人オーク会は、あなたの生殖の旅をサポートし、新生児の健康を守るために努力しています。遺伝的リスクを理解し、適切なサポートを受けることが、未来を明るくする第一歩です。ご不明な点やご相談がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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